番匠は日本の森林を守ります

日本の建築技術を伝承し、環境を大切にします

第2回 《林業の大危機-2》

  • ■国産材住宅に減税を

     地球温暖化問題が人類の最大の課題になっている現在こそ、抜本的な林業改革に踏み切る必要があるんだ。国の支援なしにはとても解決し得ないところまできている。この問題の解決策は一つ、国産材で日本の住まいを造ることだと思うね。現在の日本の家の80%が在来軸組工法で作られている。あとの20%がプレハブ住宅やツーバイフォー住宅、輸入住宅なんだ。このシェアは殆ど変わっていない。不動といっていい。やはり日本の住まいは大工、棟梁が造っているんですよ。プレハブ住宅やツーバイフォー住宅、輸入住宅はさておき、もし、この在来軸組工法の住宅が全て国産材で造るものなら一気に国産材問題が解決し、日本の林業が一気に活性化すること間違いない。環境問題だって解決すると思うね。国産材の余っている時代にどうして外材なんかで造るんだ。日本の伝統工法で造る家ですよ。政府としてもその推進が弱すぎるね。真剣さが足りないね。国産材で建てる家には消費税を課税しないとか、減税するとか、思い切った策を打つならその経済効果、環境効果は大きく、CO2問題も解決する事になるだろうね。真剣さが足りないな。

    ■物事はトータルで考えなくちゃ

     大体、40坪程度の家を建てると木材費は300万円位かかる。確かに外材の方が7~8%安いのが現状でしょう。ユーザーにとってこの価格差は無視できないかもしれない。しかし、健康や耐久性、環境への貢献、林業の活性化を考えたら、トータルでは価値が大きい。目先の価格差に囚われているんだな。トータルで物を見る事は意外に難しいんだよね。業者もユーザーもその辺りは同じだもんな。ユーザーも賢くならないといけません。もっともっと賢くなってほしいね。なんと言ったって日本の国土は山林国家だということをよく認識して欲しい。全ての家庭用品まで木で作れとは言わないが、木という素材は人間にとって最高の素材なんですよ。加工性に始まって、肌ざわり、香り、温もり、健康性、やはり人間は木なくして生きられるものではありません。

    田子式規矩法大和流六代目 棟梁 田子和則