アメリカ・アラバマ州バーミングハム市の日本庭園内に1993年に建立された茶室「燈心庵」は、典型的な数寄屋建築であり、素材から工法に至るまで伝統に徹しています。構造材から仕上げ材まですべて日本の吉野から運ばれた木材で作られ、伝統の木組みを中心とした工法で組み上げられました。名称の「燈心庵(とうしんあん)」は「茶室に集う人々の心を灯す庵」という意味があります。文化や心を繋ぐ場となることが意図されています。そしてその業績が讃えられ、1994年に米国アラバマ州バーミングハム市より名誉市民に任命され、1997年にアラバマ日米協会より「サムエル・ウルマン賞」を受賞いたしました。さらに田子棟梁出身の前橋市とバーミングハム市の交流が発展し、1998年に友交親善都市になりました。



Toshinan
燈心庵建設のきっかけは、バーミングハム市で生活していた日本女性の願いでした。
「日本の女性が米国の男性と結婚。二人の子供に恵まれたが、がんで亡くなった。その女性が子供たちに日本の文化、日本の伝統を知らせるものがバーミングハム市にないことを常々悔やんでいた」という話に大変感動し、米国で茶室を造る決断ができました。
建設当時は、米国の人々と心を通じ合えるのかという不安が最後までありましたが、現地で奉公時代と同じように、炊き出しをし、仲間と共に食事をしたところ、地元の人たちがボランディアとして一生懸命手伝ってくれました。その姿は当時の日本人の若者以上に、茶道の心を理解してくれているようでした。
この茶室を「燈心庵」と命名してくれたのは、京都清水寺の松本大圓名誉管長であり、私が清水寺三重塔建設に宮大工棟梁として、参加したことが縁でした。松本管長は茶室に集まる人々が心を寄せ合い、お互いの心に温かい灯をともすことができるようにと願いを込めて命名いただきました。建設後、茶室「燈心庵」を通して、より一層日米の交流が深まったことに功績が認められ、サムエル・ウルマン賞を受賞しました。


