数寄屋というのは、伝統建築の中でも、近世に生まれた自由な建築です。
数寄屋は、室町時代から伝わる和の文化(茶の湯)を基本に、国産木材を使用した、自然素材の良さを合理的に活かした建築です。
一般住宅と数寄屋の違いは、すべて「手加工」という点にあります。
本数寄屋は、ほとんどの材で無垢を使用します。材種をきめて、その木の性質や癖を呼んでから図面や資料を作成していくので、契約より先に木材を調達して、加工材を準備する必要があります。「木に学び、木に生かされ、木に悩む」ことを、私が会長を務める株式会社 番匠では社是にしております。本数寄屋は、まさに「木に学び、木の性質を知り尽くした上で活用し、木の命は建物の命」として、合体した空間を支えてくれます。


数寄屋で一番大切なことは、今まで精進して経験で得た体験を基に、無垢の木を適材適所に使用することです。
棟梁の仕事は、まずは木材調達の段取りです。材木、銘木の仕様を早めに決定し、各部屋ごとに木材加工施工図・銘木施工図を作成し、木材業者と事前に打ち合わせをして、早めに作業を始めることが、一番大切な仕事です。何度経験しても木材の選定、乾燥と加工技術、まさに責任と判断が必要になります。全ての職種技能者と、経験者の体験に耳を傾けて協力して頂くことが、何よりも大切です。
日本は国土の68%が森林に覆われていて、そのうち40%が人工林です。
山を育てる技術と木を活用するための技を祖神が残して下さいました。その技術こそが日本の伝統技術と思っております。しかし今、日本の山が荒れています(戦後植林した木が伐採期にあるにもかかわらず、あまり活用されていない)。森林(人工林)は、植える-育てる-伐る-また植える…のサイクルを繰り返すことで機能を保ちます。森林が荒れると環境の破壊につながります。木は樹齢20年くらいの若木が元気で、CO2をたっぷり溜め込み酸素を造り出しています。そして50年くらいを境に光合成が減少し、吸収と排出の量が同じになり二酸化炭素を減らす役目を終えます。荒れた山(日の射さない地肌)は雨水が表層を流れ、土砂が流失します。手入れの行き届いた山の土壌(下草や落ち葉)は、スポンジのように隙間が沢山ある構造になっており、雨水の浸透能力が高くミネラル等をたっぷりと含んだ地下水となって沢に流れ川となり、飲み水や米を始めとする作物を育て、海へと流れプランクトンを発生し魚を育てています。
初出:日本みどりのプロジェクト推進協議会「協議会参加団体|株式会社 番匠」
(掲載ページ: https://midori-project.jp/members/bansho/ )