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未来に伝えたいさしがねの技(第2回)

 さしがねは、昔は尺目盛りで出来ていました。現在、多くはセンチ目盛りのさしがねを使用しているようですが、昔からの尺は良くできており、さしがね(規矩術)の使い方を勉強するには、尺ほど理解し易い単位は無いと思っております。放送作家、作詞家の永六輔先生も、尺ほど使いやすくこれに勝るものはないと尺・鯨尺の便利さを良く理解され、伝統的な業種において尺貫法の例外的使用を認めさせてくださいました。
 さしがねの長さや形状は、現在のセンチ表示のさしがねについても、昔の尺表示のさしがねの長手、短手の長さを基に出来ております。
様々な理由から、規矩術を勉強するには尺で勉強した方が分かり易く、昔から伝わってきた、さしがねの使い方(規矩術)が良く理解できると思います。
さしがね(規矩術)の理論をよく理解できましたら、センチ表示のさしがねにもそのまま応用できますので、若い人にはしばらく大変とは思いますが、尺での説明で理解していただきたく、最初にお願いしておきます。
 これから数回にわたり、私の知識としてのさしがね(規矩術)について述べさせていただきます。知れば知るほどに、さしがねの凄み、また日本伝統の規矩術が如何に素晴らしいものであるか、そのことを昔の技術者特に大工さんが理解し使いこなしていたことが、分かっていただけると思います。

 まず、さしがねの形状についてご説明します。(図1) さしがねの長い部分(長手)は1尺6寸5分=約50cmまで目盛りが刻まれています。 この長さは、関東間(6尺)、本間(6尺2寸)、関西間(6尺5寸)の4分の1(四ツ割:間柱の位置)の長さを基準として定められています。  短い部分(短手)を8寸=約24cmとしていますのは、707(7寸7厘)=裏目の5寸を測れるのと、道具箱に収まることや現場での使い勝手の良さなどから、この長さに作られています。

 図1の棒隅直投げ目盛についてや図2・3の「財」「病」…その他の目盛につきましては次回ご説明いたします。



 次回に続きます・・・。

田子式規矩法大和流六代目 棟梁 田子和則

月刊 住宅ジャーナル 2016年1月号(VOL86)に掲載