株式会社番匠 | 和風建築事例

１）店舗外観は腰壁に吉野赤杉の美しい杢目を生かした腰板を使用し、壁には京壁、聚楽を塗り、円相窓を配置し、個室宴席に満月の灯りを楽しんで頂けるように演出しました。

２）店舗入口は三州一文字葺きの軒を設け、化粧桁・化粧垂木・化粧木舞は吉野桧無地で設え、化粧野地は吉野赤杉の杢目を使用しています。

３）玄関は吉野桧の格子戸でホールを広く取り、レジカウンターは吉野桧の生き節で無垢材を使用しています。

４）そして正面にお客様の待合を設け、来店して頂いたお客様にお寛ぎ頂けるよう配慮いたしました。

５）入り口待合を出て正面の飾り棚は人それぞれに思いとれる変形円反りの形を切り抜き、そのバックスペースは世界的に活躍をしております和紙作家、伊部京子先生の手すき和紙を間接照明にて演出し、和紙独特の紋様と間接の灯りをお客様に楽しんで頂けます。

６）ホール右側のテーブル個室は丸窓の円相を満月のように内側の障子に映し出し、お客様に楽しんで頂くと同時に、満月は願い事を叶えるという意味もあり、また、お客様に料理を満喫して頂くという意味をも含んでおります。

７）店内では個室数寄屋の外観の優しい風情を楽しんで頂くと同時に小川のせせらぎの音と江戸水琴窟の響きを楽しんで頂き、外庭は建仁寺垣根と金閣寺垣根を背景に琳派の石庭を楽しんで頂けるよう設計致しました。

８）数寄屋六畳和室は吉野赤杉の柱と、床柱は杉絞り丸太を使用しました。右側の床框は杉磨き丸太を使用し正面皮付きを残し使用しています。そして畳床で、ちんくぐりを設け左側は飾り棚と地袋を数寄屋に相応しく華麗に仕上げてあります。

９）そして外はガラス張りで建仁寺垣根を背景に、部屋の雰囲気と石庭を一緒にお客様に楽しんで頂き会席のひと時を満喫して頂けるよう配慮しました。そして、夜には庭園灯にて石庭を楽しんで頂けると思います。

１０）四畳半のお部屋は9尺一体型の床の間を設け少しでもお部屋を広く見て頂けるように演出しています。床の間は床板の真ん中に、こぶしの中柱を立て、左に二段の数寄屋ならではの小口斜め切になっております。

１１）屋根は銅版一文字葺きで、軒桁は吉野磨き丸太約７ｍ一本物を使用してあり、お部屋への踏込は御影石の踏み石で、框は杉の磨き框を使用、天井は軒先からの駆け込み化粧天井となっております。

１２）この間取りは茶席の雰囲気を演出し、お客様をおもてなしする最良な建築スタイルと思います。なんとなく安らぎ、なんとなく語れる、そんな自然の雰囲気のなか美味しい料理をいただく…。
これこそが、おもてなしの文化であり、会席であると心得ます。

　設計・監修　　棟梁　田子和則

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